本みりんとみりん風調味料の違いは?
本みりんとは
本みりんは、“お米からできた甘いお酒”です。
甘いお酒ですが、米の甘みだけを麹菌の酵素が引き出して作られたお酒です。お酒なので、アルコール度数は、14.5~16.5%含まれています。
色は?
実は、金色から赤茶、オレンジ、黒色まで様々です。
ちなみに、入江豊三郎商店は、米そのものの味が引き立っている、金色をした本みりんです。
和食に調味料として使われるほか、入江豊三郎の保命酒のように薬酒のベースリキュールとしても現在も大活躍しています。
“良薬、口に苦し”といいますが、それを『良薬口に甘し』にしてくれているわけです。
また、砂糖が貴重だった江戸時代は、その甘さからお酒として女性に人気のお酒でした。
本みりんと、それに似た調味料たち
本みりんに似た調味料は、食品表示の規定では、“みりん風調味料”と“発酵調味料”の2つがあります。
- ・みりん風調味料は、アルコールを抜いた本みりんをイメージしてつくられた液体。
- ・発酵調味料は、お酒に塩を入れて食品として売り出している塩入りのお酒
です。
それではそれぞれみていきますが、すこし難しい話も挟ませていただきますので、難しいと感じたらどんどん飛ばしてしまってくださいね。
みりん風調味料とは
みりん風調味料とは、アルコール分が法律で0.9%以下と定められている、食品分類の液体調味料。本みりんの真似をしているため、本みりんと同じく常温保存できるようにするため、塩分とクエン酸が含まれていることが多い。
アルコールを飛ばした酒や本みりんが実際に含まれているのは稀で、糖類・クエン酸・塩・水分であることがほとんど。
戦後の食糧難にともない、本みりんの製造が禁じられた際に製造され始めた。また、2000年ころまで酒の販売が制限されてほぼ酒屋でしか取り扱えなかったために、酒を販売できないスーパーマーケットがみりん風調味料を販売し、販路が拡大した。原料も安価で、酒税がかからないため、非常に安価。ただ、料理の味のバランスを崩す原因にもなりやすい。
発酵調味料とは
ここでいう発酵調味料は、食品衛生法に基づいた表示で、品目が“発酵調味料”と表示されるもののこと。塩こうじなどは含まない。
発酵調味料は、アルコールを保ったまま、酒を食品分類にする処置を施した酒類のこと。アルコール度数に対して1.5%の塩分を加える必要がある。この記事では本みりんに焦点をあてているが、塩を入れられる酒は、本みりんのほか、清酒やワインもあり、その場合は料理酒として販売されていることが多い。
よく、廃棄のために必要な不可飲処置と混同され、「液体に2%の塩を入れている」と書いている記載が見受けられるが、それは間違いである。
これら塩を入れられた酒は、食品分類であるためスーパーマーケットが取り扱える利点もあるが、最も大きな利点は“材料に縛りがなくなる”ことであり、添加物を自由に入れられるようになることから、食品工業で重宝されている。業務用に、顧客のリクエストに応じてかなり自由に必要な塩分・うまみ調味料・みりん・酒を蔵元で調合し、それを食品分類の酒税非課税の状態で納品することで、食品加工工場は、調合の手間を省き、調合ミスのリスクを回避しつつ、酒税をコストとして削減できる。
本みりんとは
本みりんは、酒税法が適用される、酒の一種。そのため、20歳未満の購入は禁じられている。材料は、もち米・米麹・蒸留酒です。糖類の添加は規定量まで認められています。本みりんと記載する製品には、これ以外の原料を入れることはできません。
アルコール度数は、13.5~16.5%。入江豊三郎商店の本みりんは、14%程度で比較的標準値。
また、アルコール度数は規定がないものの、エキス分が40%以上でなければならない、と法律で定められている。(過去にエキス分が薄いみりんがお酒として流通して市場を荒らしたことがあったため。)それによって、酒税が他の酒類に比べるとかなり安い。
元々は、“みりん”や“みぃりんちゅう”と呼ばれる甘いお酒として1600年代から爆発的に広まった。ところが、戦時中に製造を禁じられたり、食品工業の隆盛でコスト面からの圧もあり、類似調味料が多く発生したため、「みりん」に“本当の”という意味で“本”がつけられ、《本みりん》と呼ばれるようになった。
まとめ:法律を基にみるそれぞれの違い
上記の内容を表にまとめると以下のようになる。
本みりん | 発酵調味料 | みりん風調味料 | |
材料 | もち米・米麹・蒸留酒 添加物として糖類 |
アルコール度数をもつ酒と塩、その他自由 | 法による決まりはとくになし。 |
国の 主な管轄 |
酒のため、 国税局 |
食品のため、 厚生労働省 |
食品のため、 厚生労働省 |
添加物 | 糖類のみ可。 | 添加物は自由 | 添加物は自由 |
アルコール度数 | 13.5~16.5%程度 20%未満がほとんど |
決まりはない | 0.9%未満厳守 |
エキス分 | 40%以上 | とくに決まりなし | とくに決まりなし |
保存 | 必ず常温 | 常温・冷蔵どちらでも可 | 常温可だが冷蔵推奨 |
売り場 | 酒屋・酒販免許のある売り場 | 小売店にはあまり出ないが、スーパーなど | スーパー、コンビニ、百均 |
主な用途 | 特に傾向なし | 食品工業・業務用向け中心 | 酒販免許を持たないスーパーや小売店向け |
賞味期限 | 記載はある場合もあるが、酒なので原則必要も腐る心配もない | 記載義務あり | 記載義務あり 開封後はお早めに |
以上が、簡単ではありますが、本みりんと類似調味料の違いをまとめた内容になります。歴史や細かい部分の解説は省いていますが、結構すべてを覚えるのは難しいかな、と思います。でも、納得できる違いではないでしょうか。
本みりんと類似調味料を間違えないためには?
結局、ちゃんとした本みりんを見分けるにはどうしたらいいか。
簡単です。漢字・ひらがな色々あれど、《本みりん》と書いてある製品を手にとればいいだけです。本みりんは非常に多くの法律に縛られているので、それ以外の表記はできません。
だから、本みりんとさえ書いてあれば、それは由緒正しい本みりんなのです。
入江豊三郎の本みりんは、若干の糖類の添加があるものの、あくまで主な甘さは米由来です。糖類の添加が多すぎると、本みりんとしての機能・効能が落ちてしまいますが、それはなく、また、味わいのバランスを調える程度に糖類を使用しています。